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高級車を使った脱税スキーム?

2018年12月05日
タグ:税務会計節税対策
こんにちは、浅野です。

さて少し前のことになりますが、
富裕層による「フェラーリ」など高級車を使った脱税の摘発事案が相次いでいる、というニュースがありました。

小市民ながら、フェラーリに携わる公認会計士としては、

・「フェラーリ」のブランドを汚しかねない記事見出し
・「脱税」というワード

に憤りを感じるとともに、どんな脱税手法なのか、思わずチェックしてしまいました(あくまで反面教材として)

ただ読んでみると記事中「税理士にスキームについて聞いた」とあるのに、結局脱税スキームについての説明が最後までなかったのが残念でしたが(苦笑)

ですのでここからは、あくまで私の推測でしかないのですが、
おそらく追徴課税された人の中には、堂々と車両売却代金を個人口座に入れて隠ぺいといった原始的な脱税手法ではなく(そういう人もいたのかもしれませんが)、本人に所得隠ぺいの意図なく、下記のような流れで「節税をしていたつもりの人」も多かったのではないかと予想します。

(追徴までの流れ)
 ①法人名義で高級車(数千万円)を購入
 ➁帳簿価格1円まで減価償却(ここで数千万円損金経理により法人税を節税)
 ③帳簿価格1円で社長個人に売却
 ④社長個人が第三者に時価(数百万~数千万円)で売却

 ➄社長個人は車両売却益については申告・納税不要と考え、申告せず
 ➅国税に一連の行為を租税回避行為と指摘され追徴。

高級車を経費計上していること自体の適否は考慮外としますと、①~➄までの流れは一見すると何ら問題がないように思えます。
しかしながら、実は③に問題があるのです。

法人税法上、資産を売却する際はあくまで時価売却が前提です。
仮に時価以外の低廉価格で売却をした場合は、時価(本件では数千万円)と実際の売却価格(本件では1円)について、「みなし評価益・みなし売却益」が認定されます。つまり法人にはお金が1円しか入ってこないのに、多額の法人税がかかるのです。

なお、この時価と売却価格(帳簿価格)との差額は、本来法人が得られたであろう時価相当の売買対価を一旦受け取って、すぐに相手先に寄付しているものとみなされます。

もし取引相手が役員の場合は「役員賞与」とみなされますが、役員賞与は法人税法上、残念ながら費用(損金)とは認められないので減税効果はありません。

こうして、③の段階で売却益についてしっかりと法人税が課税されるような仕組になっているのです。

もし知らずに1円簿価で譲渡してしまうと、後から無駄に加算税や延滞税を取られる結果になります。
それどころか、場合によっては個人として高い累進税率で法人よりも重たい課税を受けてしまう危険もありますので、
車好きのオーナー経営者の皆様はくれぐれもご注意くださいませ。

記事ソース:
読売新聞2018年10月22日付記事「高級外車の売却益隠し続出、歯科医や社長ら多数
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181124-00008872-zeiricom-bus_all

浅野 雅文アサノ マサフミ
代表取締役社長 / 公認会計士 / 税理士
クラス マネージングディレクター