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海外スマホゲーム事業者への消費税課税強化の報道について

2018年12月07日
タグ:国際税務税務会計
こんにちは、浅野です。

いよいよ今週から10月決算対応が本格稼働しており、年末まではほぼノンストップで仕事になりそうです!頑張ります!


それはさておき、昨日朝日新聞にて、かなり衝撃的なニュースがでていました。

国税局が海外のスマホゲーム配信業者に対する消費税の課税強化をしている 

という趣旨のものです。

なかでも衝撃的であったのは、海外に拠点を有するGoogleプラットフォームによるゲーム配信について、
国税当局が国内ユーザー(消費者)との直接取引先であるGoogleではなく、ゲームコンテンツプロバイダーに課税をしていることです。


どういうことか背景を解説しますと、
じつは平成27年の税制改正により、「電気通信役務提供取引」にかかる消費税の課税方法が改正されています。
いわゆる、ネット動画や音楽、書籍など、インターネットをつかったクロスボーダーのコンテンツ提供にかかる消費税課税方式の改正です。

これによると、課税パターンは大きく下図の5通りに分けて整理されます。

 





主な改正点は➁のケース

クロスボーダーのB to Bによる電子通信役務提供の場合、サービス提供受領側の国内企業が消費税を納めるという、「リバースチャージ」と呼ばれる申告納税方式が採用された点です。
通常の国内B to Bのケースですと、サービス提供側が消費税を消費者から預かって申告納付しますので、逆という意味でリバースですね。

そして④のケース。
これはクロスボーダーのB to Cのケースです。
このときから、国内個人消費者に対するコンテンツサービス提供についても、消費税課税となりました。たとえば従来はKindleで電子書籍を買っても非課税であったのに、このときから消費税込みの値段になったのは記憶に新しいですね。
そしてこのようなB to Cのケースは、国外事業者であるコンテンツプロバイダーに申告納付義務があります(個人消費者から税金を徴収するのは現実的ではないのでしょう・・・)。


ここで、国外事業者であるGoogleプラットフォーム上で海外のコンテンツプロバイダー事業者が国内ユーザーに対して役務提供した場合は、だれが④でいう国外事業者として納税するのでしょう?

当職はGoogleが国内消費者との直接の契約主体であり、国内消費者から直接入金を受ける立場にあるため、当然googleが納税義務者と考えていました。

そして海外コンテンツプロバイダーは、あくまで海外Googleとの取引になりますので、外国企業間のB to B取引として国内の課税対象にはならないはずと考えていたのです。

しかしながら、今回の報道によると、国税当局は 取引はB to Bという形式であるにもかかわらず、実質的なB to C取引と認定し、Googleではなく、コンテンツプロバイダーに直接課税しているということなのです!!

弊社のクライアント様の中にも、海外のスマホアプリ提供企業がありますので、この報道は他人事ではなく、
2月末の消費税申告期限までに当局との協議が必要になるのではないかと懸念しています。

出典:
国税庁『国境を超えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等について』


朝日新聞(2018年12月5日)
https://www.asahi.com/articles/ASLD34KGRLD3UTIL01G.html


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浅野 雅文アサノ マサフミ
公認会計士 / 税理士
クラス 代表パートナー