コラム
ERMで管理対象となりうるリスク要因
前回、ERMの概要をお伝えしましたが、今回はその管理対象となる「リスク」についてもう少し掘り下げていきたいと思います。
まず一般論として潜在的なリスクが発現すると、企業の根幹となる経営資源の量の減少と質の低下が起こります。ここでいう経営資源はヒト、モノ、カネ、そして技術、情報です。
例えば、2007年を思い返すと、老舗の不二家だったり、白い恋人で有名な石屋製菓、またマクドナルドなど、賞味期限切れの原材料使用や商品の販売問題が頻発しました。これに伴い、以下のような被害が発生してしまいました。
- 生産中止や販売停止に追い込まれたり、停止にまでは至らずとも、生産量や販売量眼が減少し、生産効率や販売効率が低下
- 経営数値にも直結し、売上や利益の減少、資産効率が悪化。また、FC店への補償等も加わり、キャッシュフローが大幅減少
- 社長の引責辞任や役員退任、工場長の交替、従業員の一時休業等、関係者に大ダメージ
- 上場企業は株価急落、時価総額の減少という形で社外のステークホルダーに損失発生
また、リスクは損失発生というダウンサイドのものばかりではなく、リスクマネジメントを怠ったために、本来得られるべき価値を取りこぼしたという機会損失まで生じ得ます。
では、そのリスク要因とはどういうものか。その数は限りなく、会社の業種業態に左右される面が多分にありますが、一般的な代表例だけをお伝えすると、大きく以下のような要因が考えられます。
外部環境要因 | 災害・事故 |
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株主・投資家等 |
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政治・経済・社会 |
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業界構造 |
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内部環境要因 | コンプライアンス |
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製品・サービス |
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サプライチェーン |
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人事労務 |
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情報セキュリティ |
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経営戦略/経営管理 |
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財務経理 |
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資産管理 |
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上記はほんの一例ですが、これらのリスクに対して、各社で発生可能性や損失の大きさを評価して、優先順位を決めるとともに、そのリスクに対してどのように対処していくか、を検討していくことになります。対処方法についてはここでは詳細に述べませんが、いわゆるリスクコントロールと呼ばれる「リスクの回避」「リスクの軽減」策を講じるのか、またはリスクファイナンスと呼ばれる「リスクの移転」「リスクの保有」で対応するのか、を決めることになります。
最後に、近年特に注目されているのが、リスクに対する経営トップの責任です。それこそ、リスク発生に対して、経営トップが「知らなかった」ということは許されません。トップがリスクマネジメントに無関心であることを示す発言として受け止められ、この「知らなかった」という体制を作ったトップの責任が問われる時代になっています。
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