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表に出てこないM&Aの苦労話

2019年07月28日
タグ:M&A・組織再編経営
こんにちは、大内です。7/19付けの日経新聞にて、

「 M&A減損 世界で16兆円 18年度、危機後最大 価格高騰、景気減速で裏目」

という会計人にとっては特に目を引く記事がありました。この金額規模は2008年の金融危機後で最大で、世界的なカネ余りでM&A価格が高騰していたところに、米中貿易摩擦などを受けた景気減速が重なり、買収した企業の業績が想定より低迷しやすくなっているため、とのこと。また、これまでのM&A市場の活況から資産計上される「のれん」の金額は世界で7兆ドル超に積み上がっているとのことで、損失がさらに膨らむ恐れが否定しきれない、と日経新聞が述べています。
景気動向を踏まえ、今年来年が企業業績の転換点になりそうで、一つの曲がり角に差し掛かっているようにさえ感じます。

さて、M&Aに関しては、「金でスピード・ノウハウを買う」「シナジー効果の享受」「スケールメリットの拡大」などのメリットがある点は皆さんご存知のところかと思いますが、実際の現場では、メリットよりもデメリットの方が多い(むしろデメリットしかないのではないか、とさえ思うほど)と感じることがあるのが実情です。このような状態ですから、「日本企業のM&Aの成功率が2割」といわれても、個人的にはさもありなん、と思ってしまいます。

過去にM&A関連のプロジェクト案件に関与した際、クライアントの方から言われた言葉で今でも強烈に印象に残っているのは、

『シナジー効果、というフワッとした言葉ではなく、より何が変わってどう嬉しいのか、をコンサルの方には明確に語って欲しい。社内にもそれを明確に言える人間はいないので』

ということでした。製品のラインナップ強化、製造における規模の経済効果の拡大、物流等のプロセス統一によるコスト削減、余剰となった人員の配置転換、買収先の繰越欠損金の活用による節税、などのとおり一辺倒のことは言えても、より具体的な効果を説明することができず、冷や汗をかいたのを覚えています。

また、少し残念な話として、例えば、A社とB社が統合された際、両社それぞれに企業文化や強みが異なるので、その良いとこ取りをすれば、それだけで先ほどの「シナジー効果」じゃないか、と思うのですが、現実的には相手の良いところを潰しにかかり、最悪、どちらの良さも消されてしまう、という理屈上あり得ないことが、実際の社内政治・駆け引きの中で起こったりさえします。特に人事などで合併相手より有利に立ちたい、主要ポストを合併相手よりもより多く押さえたい、という思いがそうさせているんだと思います。これは経済学の理屈では全く説明できない事象でしょう。
PMIでは数多くの分科会が開催されますが、会社全体の利益のためではなく、自分たちの保身を優先する考え方が紛れ込むと、どうしても物事がうまく決まらなかったり、なかなか前に進まない、またそんな日本本社の空気が伝わって海外子会社も腰が重い、という状態になりやすくなってしまいます。

その他にもいろいろありますが、人間の本質・感情まで入ってくるために、思惑通りに行かないのがM&Aを成功させることをより難しいものにしていると言えます。