コラム

(前編)上長の承認はそんなに必要か?

2021年01月13日
タグ:Collegiaの活動内部統制構築リスクマネジメント

 こんにちは、内部統制コンサルタントの浅野です。

 さてコンサルティングの現場にて、よくご相談を受けるお悩みの1つに

(内部統制チームや監査法人等から)取引の始まりから終わりまで、すべて上長の承認を受けるべき、と指摘を受けたのだが、まともに対応していたら上長の時間がハンコを押すことに忙殺されて、とてもじゃないけども本来の業務が回らない! なんとかできないか?」

 
というものがあります。

 内部統制はたしかに経営のブレーキ役であるものの、ブレーキを掛け過ぎてしまうとビジネスのスピードが失速して、本業の利益獲得に支障をきたしてしまう、という典型的な例です。

 特に、この上長が各営業所長、支店長といった営業の前線部隊の長である場合、内部統制対応のために隊長が営業所に缶詰になることで、まともに営業活動を行う時間が取れなくなってしまっては洒落になりません。


 そこで、本コラムでは、内部統制の有効性と業務の効率性をいかに両立するかについて、弊社がコンサルティングの現場で活用しているアイデアの一部をご紹介したいと思います。

 なお 2021年GWごろには筆者(浅野)の新刊が発売予定です(いきなり宣伝でスミマセン)。

 全体テーマは「内部統制が強くなれば、決算・監査対応は楽になる、安くなる」。

 
本コラムでご紹介する「【浅野式】A→D→S→Iマトリクス」をはじめ、内部統制の有効性と業務効率性という相反する性格の2者の両立を実現するためのほかの実践的アイデアもご紹介していますので、本コラムでご興味持っていただけた方は是非ご覧いただければと存じます。


 さて本題にもどり、いかに内部統制の有効性を維持しながら、貴重な上長の時間を確保するか。

 この問題を解決するために筆者が開発したのが、A→D→S→Iマトリクス」です。この「A→D→S→Iマトリクス」を使うことで、リスクを合理的な水準に維持(すなわち内部統制の有効性を維持)しつつも、上長の時間的余裕を確保することで、ビジネスの失速を最小限に食いとどめることが可能になる、と考えています。

 ちなみにこの考え方はJ-SOX(すなわち財務報告の信頼性)以外の内部統制の整備に際しても活用可能ですので、社内承認ルール設定のあらゆる場面でご活用いただけると思います。


 

①いかにマネジメントの時間を確保するか

貴重な上長の時間は最大限有効に使うべきです。そういう意味では、上長の承認は、上長にしかできない業務に限定すべきです。 

 ただ、企業の業務は日常業務から特別な対応まで多岐にわたりますし、ともすれば監査法人からは、何かに連れて上長の承認を求められがちですので、いったいどのような考え方で上長の承認が必要な領域を絞り込めばよいかが問題となります。

 

 そこで筆者が開発したのがA→D→S→Iマトリクス」です。

A→D→S→Iマトリクス」は、

 ①金額的
/質的な重要性と、
 ②経営判断の要否(ジャッジメンタル・ワークかオペレーショナル・ワークか)

 の2軸で作成します。

 なお②は、「定型的な業務か、非定型的な業務か」、また「答えがあるもののか、答えがないものか」、とも言い換えられるでしょう。

 

 この2つの軸を交差させてマトリクス化すると、以下の4つの象限によるマトリクスが出来上がります。

 

  第1象限:重要、かつ、経営判断が必要(=非定型的・答えがない)

 

  第2象限:重要でないが、経営判断が必要(=非定型的・答えがない)

 

  第3象限:重要だが、経営判断は不要(=定型的・答えがある)

 

  第4象限:重要でない、かつ、経営判断は不要(=定型的・答えがある)


(後編)では上記4つの象限について、企業がとる具体的なアクションの例をご紹介したいと思いますのでお楽しみに。

 (後編)はこちら↓
 
https://www.collegia-intl.com/column/2004144.html
 
  
  
  
  
  
  
 
 
 


浅野 雅文アサノ マサフミ
公認会計士 / 税理士
クラス 代表パートナー