コラム

なぜ貴社の内部統制対応が行き詰まるのか 3

2018年08月09日
タグ:内部統制構築

内部統制対応が行き詰まる5つのタイプ 

このように、①(対応不足)と②(対応過剰)の2パターンについてそれぞれコンサルティングを行っていると、不思議なことに実は内部統制対応が行き詰まる要素には共通項が多く、これらは大きく5つのタイプに分けることができます(図1-1-1参照)。もし貴社の内部統制対応が上手く進んでいないとしたら、下記行き詰まりのタイプAからEのいずれかに当てはまるのではないでしょうか?

 

タイプA:プロジェクトが全く進まない

タイプB:過剰なまでの内部統制対応により疲弊する

タイプC:いつまでたっても内部統制の構築が終わらない

タイプD:期限までに内部統制評価が終わらない

タイプE:不備が期限内に改善されない

 

①    タイプA:プロジェクトが全く進まない

文字通り、会社として内部統制担当(以下、内部統制チームといいます。企業によっては内部統制室、内部監査室などが担当となる場合があります)といった、対応組織を作りメンバーを集めたまでは良いものの、具体的に何からどのように手を付けてよいか分からない、その結果、内部統制対応プロジェクトが思うように進まず、時間だけが刻一刻と過ぎ去っていく・・・、といったタイプです。典型的なのは、「監査法人にアドバイザリーをお願いしたのに、蓋を開けてみたら、分厚い教科書のようなマニュアルの提供とレクチャーを受けられるものの、どの会社にも通用しそうな一般論、抽象的なアドバイスばかりで、自社の具体的課題に対応していない。また監査法人は全然手を動かしてくれないので、自分達で文書を作成し始めたものの、思うように先に進めない」といったタイプです。

 

②    タイプB:過剰なまでの内部統制対応により疲弊する

このタイプの典型は、自分達で内部統制報告制度の理解が不足していることもあり、基準に則した必要・不必要の判断ができず、本来は評価不要な事業拠点やプロセス、勘定科目までを評価対象に含めてしまい、また評価を実施する際に過度な手続を実施してしまう結果、内部統制プロジェクトがなかなか前に進まないタイプです。

 

③    タイプC:いつまでたっても内部統制の構築が終わらない

タイプBと似ていますが、このタイプは典型的には内部統制担当が過剰に評価項目を増やすことで発見事項が増え、現業部門に過度な内部統制の構築を指導することで、現業部門が本業と掛け持ちで内部統制の構築対応を強いられるがために、いつまで経っても内部統制の構築が終わらなくなってしまっているタイプです。

 

④    タイプD:期限までに内部統制評価が終わらない

このタイプの典型は、過剰な評価手続の計画、また経営陣やIT部門との連携がとれておらず評価期間中、急にシステムの入れ替えが判明したり、部門統廃合などの組織の再編、M&Aによる大型子会社の出現が生じ、文書化や評価のやり直しという二度手間作業が生じることで、期限までに内部統制評価手続が終わらなくなってしまうタイプです。

 

⑤    タイプE:不備が期限内に改善されない

このタイプの典型は、一通りの文書化、評価手続を終えたものの、評価項目が多すぎたことから、発見事項(要改善項目)も増えてしまい、また指示する改善策のハードルも高く、現業部門がなかなか改善実行できないケースです。そのほか、海外子会社を含むグループ会社に対する指導不足やコミュニケーション不足により、タイムリーな協力が得られず、グループ全体の不備項目がなかなか改善されないケースもあります。



㈱Collegia Internationalでは、豊富な経験とノウハウのもと、上場準備中の企業様はもちろんのこと、既に上場されているものの、内部統制対応を見直したい企業様にむけた、内部統制文書化支援、整備・運用評価支援、見直し支援コンサルティングを提供しております。

お困りごとがございましたら、お気軽にご相談くださいませ! 



※(株)Collegia Internationalでは、豊富な経験とノウハウのもと、上場準備中の企業様はもちろんのこと、既に上場されているものの、内部統制対応を見直したい企業様にむけた、内部統制文書化支援、整備・運用評価支援、見直し支援コンサルティングを提供しております。
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浅野 雅文アサノ マサフミ
公認会計士 / 税理士
クラス 代表パートナー